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二十一世紀の湯治旅 -三泊四日で行く三朝温泉 –
【コラム】三朝とラドン

岡山大学病院三朝医療センター長・光延文宏先生に聞く

岡山大学病院三朝医療センター長・光延文宏先生に聞く

――― 低レベルの放射線を浴びるとヒトは本来備えている自己免疫力を格段に向上させる……そういわれ始めたのは約三〇年前。低レベル放射線というのは具体的には何を指すのでしょう?

光延 低レベル放射線とは、三朝温泉で解説するとラジウム源泉がラドンガスに、ラドンガスがポロニウムに変化するときに放出される、強いイオン化作用を持つアルファ線のことです。これが細胞レベルに強く働きかけると、新陳代謝が活発になり、抗酸化機能や自己免疫機能の亢進、酸化障害の緩和など、細胞自体が自らを強化していくと考えられています。これを通常「放射線ホルミシス効果」と呼んでいます。
いまやすべての病気は活性酸素病と呼んでもいいくらいで、三朝の放射能泉の効果としては、細胞を酸化から守る予防療法といってもいい。ただし、いまだ科学的証明には至っていないのが現状です。森林浴にも同様の効果が認められているようです。

――― ホルミシス(hormesis)の名づけ親は、アメリカ・ミズーリ大学の生化学教授、トーマス・D・ラッキー博士。しかし、そのアイデアはあまりラッキーじゃなくて発表当初、学会から黙殺されます。「放射能は怖い」という考えが根強かったからですね。

光延 ええ。けれど時代が進むにしたがって再評価されていきます。八五年以降、放射線研究は多くの国々で再開され、二一世紀に入ってからもさまざまな検証が重ねられています。三朝でも、世界有数の放射能泉を用いて「熱気浴」という治療施設で研究を重ねエビデンス(科学的根拠)を追い求めてきました。しかし、個別の結果は認められるものの、たとえば治験上で用いられるブラシボ(偽薬)のようなブラインドデータとの比較といった臨床上のエビデンスはいまだ確立しているとはいいがたいのです。

――― 浸かってよし、飲んでよし」というのがそれまでの三朝温泉のセールストークだったと聞いています。ところが今から六年ほど前、そこに「吸ってよし」というのが加わったそうですね。

光延 それは「熱気浴」と同時くらいだったと記憶していますが、同僚の先生が「これは『入浴』じゃなくて『吸浴』だ」とおっしゃた。たしかにその通りでラドンの性質からするとそうならざるを得ない。温泉水からはアルファ線が出ているだけなので、皮膚から体内に入ることはまずなくて、体内に入る途は呼吸だけだったのです。

――― となれば、三朝の温泉組合の産学協同で「吸浴」に関したエビデンスを確立するプロジェクトを立ち上げられませんか?

光延 治験データを地元に還元できるかどうかが鍵でしょうね。三朝の保養旅館は、規模・機能などのバリエーションの豊富さも魅力の一つですから、温泉組合との連携で、どんな研究協力が可能なのかをすり合わせていく必要があります。でもこうした調査研究が実現すれば、医療現場や患者さんにとって、ものすごく大きな貢献をもたらすはずで、これがフィードバックされた暁には「世界の三朝」と呼ばれ、外国からも大勢の方が湯治に押し寄せてくるやもしれません。

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